求めよ、さらば与えられん
ルネ王子の背後から顔を覗かせたのはジーン王子……と、グレース王女だった。2人一緒にいるところを見ていられず、目をそらした。



「凄い凄い凄い!! 本にも載ってない虹のお花だ!!」



大きな瞳を更に大きくさせ、鼻が触れてしまいそうなほどの距離でアウロラを見つめるルネ王子。この無邪気さに少し救われた。



「本当に美しいお花ですわね。 わたくしも近くで見てもよろしいかしら?」



グレース王女に尋ねられ、「どうぞ」と答えるので精一杯だった。ちゃんと笑えていただろうか?


ジーン王子の顔は見られなかった。どんな顔でグレース王女の事を見ているのか、知るのが怖い。



「ベアトリーチェ! 絵師に絵を描いてもらってもいい!?」

「もちろんです。 きっとアウロラも喜びます」

「アウロラって名前なんだね! 虹花にピッタリの名前だ!」



とびっきりの笑顔を向けられるも、私の心は晴れなかった。昨夜の感覚が戻ってくる。醜く汚れた感情が……。



「キャッ!!」

「グレース!? 大丈夫か!?」





< 137 / 334 >

この作品をシェア

pagetop