求めよ、さらば与えられん
お茶を配るだけだというのに妙に手が震える。



「なんだか身体がポカポカするお茶ですね」



さっきまでは険しい顔つきだったカステルさんに、笑顔で声をかけられた。



「お味は如何ですか?」

「甘くて美味しいです。 ベアトリーチェ殿は薬だけじゃなくて、お茶まで調合できるんですね」

「薬の師に教えて頂きました」



ロッシ先生、変わらずお元気にされているだろうか?神父様も……マデリンも……。



「貴女がベアトリーチェ殿か! こんなに可憐なお嬢さんが薬を作っているとは思わんかったぞ!」



豪快かつ独特な話し方をする人だ。見た目もガッチリ体型で大きい。熊、さん?いや、ゴリラ…さん?



「ダミアン、ベアトリーチェ殿が怯えていますよ」



この方はダミアンさんって言うのね。



「初めまして、薬師のベアトリーチェです」

「こいつは失敬! 俺は水の騎士団総長のダミアンだ! 宜しくな!」



手を差し出されたのでその手を取ると、勢いよく腕を振られた。体まで浮いてしまいそうな勢いだ。



「ダミアンもベアトリーチェ殿のファンなんですよ」

「え?」

「初めてお嬢さんの薬を使った時はおったまげたぜ! 緊急の時は本当に助かる!!」



「俺はよく腹を壊すんでな!ダハハ!」と笑うダミアンさん。この人の笑い方移っちゃいそう。




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