求めよ、さらば与えられん
私がみんなを助けたいと思う気持ちと同じなんだ。騎士や兵士のみんなはこの国の人たちを守りたいと思ってる。



「戦争なんて無くなればいいのに……」

「それは、難しい問題だな」

「そうだね…え? 何よ、その顔」



意外そうな顔をされた。


こんな状況でこんな場所で、ジーン王子といつもの様に話してる事が不思議な気分だった。



「いや、お前の事だから「難しいって何!?」と突っかかってくるかと思っていた」

「……この世界に生きる者の中で欲を持つ生き物は人間だけ。 欲がなくならない限り争い事はなくならない……貴方も前に似たような事言ってたじゃない」



ある日パパの遺品を整理していると、パパが言葉を書き残したノートを見つけた。その中には、人間の欲望についても書かれていた。幼い頃は全く意味が分からなかったけど、大人になって読み返すと理解できる言葉も多かった。



「そうだ。 だからこそ圧倒的な力で抑えつける必要がある」

「手を取り合おうとは思わないの?」

「お前の目から見て、俺がそんな事をする奴に見えるのか?」



そう言った冷たい瞳は初めて会った時のジーン王子そのものだった。





< 159 / 334 >

この作品をシェア

pagetop