求めよ、さらば与えられん
「何処だ」

「え?」

「何処で気配を感じた」



困っていると、ジーン王子が話に入ってきてくれた。その顔は険しい。


耳元で「薬師たちが寝ているテントの裏辺りだ」とアウロラに囁かれ、そのままジーン王子に伝えた。



「ジル、ユーグ気付かれないよう、戦闘態勢に入れと各々団長に伝えろ。 ベアトリーチェ、お前は医師長及び薬師長に伝えて指示を仰げ」

「分かった!」

「敵に気付かれない様に自然に動け」

「わ、分かった」



外に出て何食わぬ顔をして警備の人たちに挨拶をした。医師長に伝え、フリオンさんにも伝えた。仮眠を取っていた薬師たちも急いで準備を始めた。



「念の為馬を一時我々のテントに避難させよう」

「はい!」



こんな森の中で足を失ってしまっては身動きが取れなくなってしまう。


フリオンさんと外に出ると、目の前には剣を振り上げたジーン王子の姿が目に入った。首を切り落とすとその首を剣で刺し掲げた。


バルドック城での一件が鮮明に蘇る。あの時は魔力を使ったジーン王子。でも今回は違う。それが妙に生々しくて、恐ろしいと思ってしまった。


怒声が響き渡ってる。けど、それもボヤけて聞こえる。呼吸する音が頭に大きく響く。





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