求めよ、さらば与えられん
肩を大きく揺さぶららてハッとした。



「ベアトリーチェ、落ち着いて。 怪我人が出ている、手当てをしてほしい」

「フリオン、さん……」

「私は馬や怪我人を避難させてくるよ。 だから君は手当てをしてくれ。 できるね?」



大きく頷き怪我人の元へ走った。既に治療に当たっていた医師長に指示を仰ぎ、私も手当てに集中した。


怪我人をテントの中まで運ぶ時間はなくて、外での治療になった。必死に目の前の患者さんに目を向けるけど、直ぐそばで起こっている争いのせいで気を抜けば動けなくなってしまいそうだった。



「戦争を終わらせる。 おれに続け!!!!」



ジーン王子のきいたこともない様な大きな叫ぶような声に思わず手が止まった。


黒く大きな鳥に乗って空を飛ぶジーン王子。他にも炎の鳥や水の龍がいる。



「あれは……」

「位の高い魔術師は大抵空を飛べる。 ああやって自分の魔力を具現化させてね」



いつのまにか側にいたフリオンさんが説明してくれた。



「そうなんですか? だったら馬車や馬で移動する意味なんてない__」

「相当魔力を消耗するらしい。 だから移動は基本馬を使う様にしていると聞いているよ」



もう見えなくなってしまったジーン王子の姿を追う様に、空を見つめた。


どうか無事に帰ってきて……。





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