求めよ、さらば与えられん
結界の直ぐそばに倒れている騎士や兵士たち。助けることも許してもらえず、見ていられなかった私は怪我人のテントの中で縮こまっていた。手を伸ばして助けたいと思っているのは私だけじゃない。結界内にいるみんなそう思ってる。胸に生じる葛藤の所為で心を削られていく。



「ベアトリーチェ殿」



っ!?



「カステルさん!?」



ジーン王子と戦場に向かった筈のカステルさん。無事に帰ってきてくれてホッとした。



「お怪我は!? 毒が__身体は大丈__」

「私は大丈夫です」



そう言いながらも、カステルさんの顔色はあまり良くない様に見えた。



「ジーン王子は?」

「……来ていただきたいところがあります」



踵を返して歩き始めたカステルさんの後ろを黙って歩いた。


何で何も言ってくれないの?ジーン王子に何かあったの?


テントを出ると炎の鳥が現れた。



「乗ってください」

「え?」

「薬師長には許可を得ています。 それと、私が結界を張るので外に出ても毒に侵される事はありませんので安心して下さい」



炎の鳥に乗ると、空高く舞い上がった。


森の草木は元気が無く、正気を感じられない。動物たちも同じだろう……。


涙が溢れ、溢れてしまわない様に必死に拭った。




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