求めよ、さらば与えられん
時折咳き込むカステルさん。心配して声を掛けても「大丈夫です」と言われるのがオチだろう。



「ジーン王子が一番毒を浴びております」

「……え?」

「先程は皆がおりましたのでお話し出来ませんでした。 今は王城にて休養されております。 ジーン王子が深手を負っているなどと周りに知れれば士気に関わります。 なので力尽くで王城まで連れ戻ったんです。 弱っているとはいえあの方を無理矢理休ませるのは骨が折れました」



どうしてそんな顔をするの?やめてよ。無理して笑わないで。



「解毒は?」



唇が震える。上手く息ができない。



「……体内の毒が凄くて誰も近づけない状況です」

「え? じゃあジーン王子は__っ」



「もう長くはもたないの?」そう言いかけた言葉を飲み込んだ。口に出してしまったら本当にそうなってしまいそうで怖かった。


王都上空に入り、息を飲んだ。



「酷い……」

「王城は結界が張られていますが、王都までは範囲が広過ぎて手が付けられませんでした」



カステルさんの自分を責めている様な瞳に胸が苦しくなった。


今みんなどうなってるの?レミー……また会えるよね?





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