求めよ、さらば与えられん
結界に覆われている筈の王城の中の空気も淀んでいた。


カステルさんと一緒に急いでジーン王子の元へ向かった。部屋に入ると沢山の人が結界内のベッドに横になるジーン王子を囲んでいた。



「ベアトリーチェ!! ジーン兄様を助けて!! ベアトリーチェの薬なら効くでしょ!? お願い!! 助けて!!」



ルネ王子に泣きながら体を揺さぶられた。みんなの視線を感じる。



「ルネ……あまりワガママを言うな」

「ジーン兄様!!」



ジーン王子が微かに笑った。そうとう辛いだろうに、その辛さを見せない様にしている。それが余計痛々しかった。


国王陛下、薬室長、ロアナ、グレース王女、ロアナのパパ、クリストフ王子……ここにいる誰もが憔悴しきった顔をしている。



「ジル、ワガママを言ってすまなかった」

「いいえ、そんな事はありません」



ジーン王子と視線が絡まった。



「今こちらにヘンリーが向かっている」

「……え?」



今、ヘンリーって言った?



「ヘンリーと共にこの国を出ろ、ベアトリーチェ」

「何? どう言う事!?」

「この国はもう…そう長くはない」



だからってこの国を出ろって言うの?みんなを見捨てて、一人で出ろって言うの!?


それにどうしてヘンリーの名前が__?頭の中がぐちゃぐちゃだ。





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