求めよ、さらば与えられん
「……私の命はもう長くはない」

「ヤダ!! ずっと一緒にいる! パパと一緒がいい!! 良い子にしてるから! だから__っずっと一緒にいて!!」



力強く抱きしめられた。


パパの大きな胸に抱きついて泣くことしかできなかった。ずっと一緒がいい。パパとヘンリーとずっと一緒にいたい。



「可愛い、可愛いベアトリーチェ。 昔交わした約束を覚えてるかい?」



言葉が出なくて頷いた。何度も首を振った。



「口に出して言ってごらん?」

「そとッ、では__っ使、わな、ぃ……っ、パパッと、へンリーッ、3人の秘ッ密__ッ」

「良い子だ。 ベアトリーチェ」



パパの首にしがみついてワンワン泣いた。どんどんパパの声が小さくなっていく。



「周りから何と言われようともこれだけは信じてほしい。 私もアヴァもお前を心の底から愛しているよ」

「__ッ」

「今後の事は全てヘンリーに任せてある。 ワガママを言ってヘンリーを困らせてはいけないよ?」



しゃくりあげながら頑張って頷いた。私はこんなに泣いてるのにパパは笑ってる。



「愛しているよ、ベアトリーチェ」

「わたっしも__愛して、る__っ」



ッッ!?


握っていたパパの手が急に重たくなった。さっきまで笑ってくれてたのに今は目を瞑ってる。



「……パパ? ッパパ!?」



そんな……ヤダ……嘘だ。そんなはずない。さっきまで笑ってた。話してた。抱きしめてくれた。手を繋いでくれた。それなのに……っ。



「パパァァァァァア!!!!!」



もう大好きなパパの温もりも声も何もかも感じる事は出来なかった。





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