求めよ、さらば与えられん
「ヘンリーはルーカス王から紹介された。 アゼルは予想外のメンバーだ」

「予想外?」

「バルドック王家の血を受け継ぎながらも、ルーカス王亡き後の王家に疑問を抱いていた。 アゼルはヘンリーと親しくしていたし、何より我がマクブレイン国に長年留学していた。 俺とヘンリーとの間に入ってもらうには適任だった」



パパが居なくなってから戦争の準備は着々と進んでいたってこと?ヘンリーも知ってた?



「私の所為……?」

「……戦争を仕掛けずともあのずさんな統治の仕方では、どの道バルドック国は滅びていた。 我が国への受け入れ態勢が整っていない分、死者は増えていただろう」



馬鹿な私には分からなかった。どちらが正しい選択なのか……他に方法はなかったのか……。



「アゼルもお前の存在を知っていた」

「…………」

「ヘンリーが報告していたからな」

「ヘンリーが?」

「あぁ、そうだ。 アゼルはお前の事を_妹の事をいつも心配していた。 今でもお前の事を手紙に書くと喜んでは楽しそうに手紙を読んでいるそうだ」



あの日初めて会った時、そんなの微塵も感じなかった。


私……沢山の人に守られてたんだ。愛してもらえてた……っ、それなのに自分ばかりが辛いみたいな顔してっ__何も見えてなかった。





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