求めよ、さらば与えられん
案内された部屋はとても豪華で、目を疑った。ここに寝泊まりするの?眠れるかな……。


ソファーに座ると、びっくりするくらい体が沈み込んだ。や、柔らかい!!あまりの柔らかさに驚いていると、ヘンリーが私の足元に屈み、両手を包み込むように握られた。




「いつでも気持ちをぶつけてくれて構わない。 だから、思っている事を一人で抱え込まないでほしい」



結局私はヘンリーに怒ることも責めることもしなかった。



「私も勝手な事をしたから……」



死んだことにしてもらって、この前は秘密だよと約束していた力を使ってしまった。私だってやりたいようにやってる。ヘンリーを責める資格なんてない。それに……。



「もうヘンリーの顔、見られないと思ってた。 話す事もこうして手をつなぐ事も叶わないって思ってた……だからね、私凄く嬉しいの」

「ありがとう、ビーチェ。 俺も嬉しいよ」



私が笑うとヘンリーも笑ってくれた。



「もしも、ジーン王子がビーチェを手にかけていたら、俺はあの方を迷わず殺していただろう」

「……ヘンリー」

「それはアゼル陛下も同じだと思うよ?」

「え、いや…それはどうかな……」



私が殺されそうになってた時涼しげな顔してたよ?あの時の顔は忘れたくても忘れられない。



「あの後アゼル陛下はジーン王子を思いっきりグーで殴ったからね」

「え!? ジーン王子を!?」

「『話が違う! ベアトリーチェは傷付けないという約束だっただろう!!』と凄い剣幕だったよ」



そんな熱い人には見えなかったけど……信じられない気持ちとどこか嬉しい気持ちとで、余計心が混乱する。





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