求めよ、さらば与えられん
その日の夜ご飯は勿論アゼル陛下と一緒だった。普段は一緒のテーブルにつく事は無いらしいヘンリーも気を遣ってくれたのか、私の隣にいる。そして人払いをしてくれてるから、今この部屋にいるのは私とヘンリー、アゼル陛下の3人だけ。



「あまりゆっくりは出来ないと聞いたけど?」

「はい、ずっと仕事を休んでるので、今回はあまり長くはいられません」

「そっか……」



気まずい。そしてぎこちなくなってしまう自分が嫌だ。そわそわする。


体調が戻って直ぐにバルドック国へ行く決意をした。その決意をさらに硬くしてくれたのは、グレース王女。



「すまなかった」



突然の謝罪に戸惑った。最近は謝られてばかりだ。



「ジーンとヘンリーから話は聞いているだろう?」

「はい」

「この国と君を守りたかった」



国と私を?どうして?だって私は貴方を知らなかったのに……。



「そんな事言われても…わけ、分かんないです……貴方に大切にしてもらえるような事何もした覚えないですし……」

「ルーカス王には返しきれないほどの恩を受けたんだ」



なんだか妙に引っかかる言い方。不自然に聞こえた。



「君は賢い子だね」

「え?」

「私はね、ルーカス王の息子ではないんだ。 ルーカス王の弟の子だ」

「じゃあ、私たちは……本当はいとこ同士という事、ですか?」

「そうなるね。 けど訳あってルーカス王は私を息子として育ててくれた。 そうしてくれなければ、私は生まれてすぐに殺されていただろう。 私の命だけじゃなく、母の命も救って下さった。 そんなルーカス王の役に立ちたいとずっと思っていた。 そしてたどり着いた先に居たのが、君_ベアトリーチェだった」





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