求めよ、さらば与えられん
色んな情報が入ってくる。それも軽く受け止められるようなものじゃなくて、重く口外できないようなものばかり。


みんな私のためだと言ってくれる。けど当の本人である私は何も知らない……知らなかった。



「私は私の信じた道を進んできた。 望む道を進んできた。 次はベアトリーチェの番だよ」

「私の番?」

「今だからこそ望むものがあるだろう?」



ヘンリーの顔を見ると、素知らぬ顔で微笑まれた。ジーン王子との事報告した張本人でしょうに。



「地位も名誉も富も欲しいと思った事はありません。 私が望むのはジーン王子の隣にいるための“王女”という肩書きです。 王位継承権もいりません、私にバルドックの名を名乗る資格を下さい」



勝手な奴だと思われようが、今更何を言っているんだと軽蔑されようがどうでもいい。自分の為にこれ程までに何かを望んだのは、ジーン王子だけ。



「君は今も昔もベアトリーチェ・バルドックだ。いついかなる時も私が_バルドック王家が後ろにいる事を忘れるな。 頼りにならないかもしれないけど、そばにいるよ」



初めてあった時の不気味さは少しもなかった。



「ありがとうございます。 アゼル…兄様……」



アゼル兄様は口と目を見開いて顔全体で驚きを露わにした。隣のヘンリーは嬉しそうに笑ってる。私は言ったものの恥ずかしくて堪らなかった。恥ずかしさを誤魔化すように水をグイッと飲み干した。





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