求めよ、さらば与えられん
ロアナは私が眠ってる間、目覚めた後、頻繁にお見舞いに来てくれていた。



「帰省はどうだった? ゆっくりできた? 楽しめた?」

「あははっ! 質問ぜめだね! あんまりゆっくりはできなかったけど、楽しかったよ」

「それなら良かった! お昼休みに話聞かせてよね」



私の身分や力の事を知ってもロアナの私に対する態度は変わらない。『色々黙ってて怒ってないの? 気持ち悪くないの?』と聞いたら、『私は貴族の家の子だよ? そんなの慣れっ子よ。 私たちは口にしてはいけない事がある事が当たり前。 まぁ、流石にビーチェの力には驚かされたけど』とあっけらかんと笑われた。けど最後は落ち着いた声でこう言われた。『何かあれば相談に乗るし、私も相談するからその時は聞いてくれたら嬉しい』と。私は間を置くことなく『勿論だよ』と答えた。



「ビーチェ、負けちゃダメだよ」



耳元でボソッと言われた。



「え? 何が?」

「もぉー呑気!」



訳がわからなくて首を傾げた。



「ジーン王子がグレース王女と婚約解消したじゃない?」

「うん」

「私はビーチェがいるからだって知ってるけどさ、ほら、他国の人は知らないでしょ?」

「え? うん、そうだね」



ジーン王子には段階を踏んでからがいいとお願いして、話を進めるのは私がバルドックから帰って来てからにしてもらっている。





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