求めよ、さらば与えられん
気分が悪くて、薬室長が部屋の中を見てくれている間、私は廊下の壁に寄りかかって座り込んでいた。膝を抱いて顔を埋めた。


少しゆっくりできたと思ったら直ぐにこんな事になるなんて……ほんと、ヤダ……。



「ベアトリーチェ!!」



え!?何で!?



「ジーン王子!?」



凄い勢いで抱きしめられた。息を切らしてまで急いで来てくれたの?



「どうして……」

「どうしてだと!? 話はアウロラから聞いた!!」



怒、られた……?


視線を上げると、ジーン王子の後ろに浮かぶアウロラは申し訳なさそうな顔をした。



「アウロラ」



手を伸ばすと、アウロラは躊躇いながらも手を握ってくれた。



「そんな顔しないで。 心配してくれたんだよね? ありがとう」



つい強がってしまう私の為にジーン王子を呼んできてくれたんだよね?



「体は大丈夫なんだな?」

「うん、アウロラのお陰で問題ないよ」

「そうか、それならいい。 薬室長、何か分かったか?」



薬室長は部屋から出てくると、お辞儀をした。



「ベッドの上に置かれていた毒花_プワゾン以外は問題なさそうです。 ですが、もっと隅々まで調べた方が宜しいかと思います」

「ではこの宿舎を使っているものたちを移動させ、暫くここは結界を張って封鎖する。 明日から薬室長を筆頭に研究者を集めて調べて逐一報告してくれ。 警備として騎士団団長クラス以上も必ず一人は付けることとする」

「承知いたしました」





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