求めよ、さらば与えられん
新しく用意してもらった部屋は、アゼル兄様が用意してくれた様な豪華で煌びやかでいい香りのする部屋だった。


ソファーで寄り添う様に座ってくれた。あんなに恥ずかしかったのに、今はピタッとくっついてる事が心地よくてホッとしている。



「いつまでこの部屋にいないといけないの?」

「できればずっとこの部屋を使ってもらいたい」



こんなに広くて豪華な部屋を私が?それも一人で?



「薬師の私がこんな部屋使ってたら変に思われるよ」



それにこの部屋はジーン王子の寝室と目と鼻の先。



「今まで王家とは関係なく生活してきたからしょうがないが、これからはもっと意識しろ。 身体に流れる血はバルドック王家のものだという事を」



あ、そうだよね……ダメだ私。スッカリ頭から離れてた。



「そんな顔をするな。 急には無理な事、ちゃんと分かってる。 だが城の者も、国外の者もお前がバルドック王家の王女だという事を徐々に知る事となるだろう。 そうなれば周りからの心無い言動に傷付く事もある。 こんな時に厳しい事を言って悪いが、自覚してほしい。 そして今まで以上にまわりに警戒してほしい」



只でさえ忙しくしているジーン王子にわざわざこんな事を言わせてしまった。私がしっかりしていないからだ。自己嫌悪になる事ばかりだ。





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