求めよ、さらば与えられん
「ごめんなさい。 これからはもっと気をつけるね……」



手を強く握られた。



「今回の件、俺のせいかもしれない」

「どういう事?」



やっぱりジーン王子の隣を狙ってる誰かが私を殺そうとしたって事?



「ベルギウスとの戦争の一件だが__」

「へ……?」



ベルギウス?ご令嬢の話じゃなくて?あ……。



「ご、ごめん……続き聞かせて?」



話を遮ってしまった。



「ベルギウスとの戦争時の作戦が漏洩していた可能性が高い」

「作戦が? 何で!?」

「恐らくスパイだろう」

「スパイ!?」



思わず声が大きくなって、慌てて両手で口を押さえた。今更押さえたところでさっきの大声は無かったことにはならないんだけど。



「細かい作戦は上層部しか知らされていなかった。 漏れるはずのない情報が漏れていた…そう考えないと辻褄が合わない。 あれ程までに先手を打たれたのはこちらの作戦を知っていたからだ」

「でも…誰がそんな事……それにどうして私なんかを狙う必要があるの?」



私を狙ったところで何の得もないはず。



「情報を流した者は精神的に俺を追い込み、戦場での俺を乱したいんだろう。 狙いは俺の命か、それともこの国か……」

「…………」

「お前は俺の弱点として見られる。 だが、強みでもある。 お前がいるから強くなれるんだ」

「でも……」

「気にするな。 お前は何も気にすることはない。 俺が守るんだからな」



私はただ大人しく守られてればいいの?貴方のいう通りにしていればいいの?そんなの違う……間違ってる。





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