求めよ、さらば与えられん
ジーン王子の手をグッと握った。



「気になるよ! 気にするよ! 聞かせてよ!!」

「ベアトリーチェ?」

「どうして肝心な事は何も言ってくれないの!? そりゃジーン王子にとっては肝心な事じゃないかもしれないけど__っ、私はどんな事だって気になってしょうがないんだよ!」



好きな人の事だもん。知りたいって思って何が悪いの?気にして何がいけないの?



「急にどうし__」

「急じゃないよ!!」



私にとっては全然急じゃない。



「私、誕生日すら知らなかった……」

「ベアトリーチェ……」



そんなの私が聞かなかったから当たり前の事。ただの八つ当たりだって分かってる。それでも人から聞かされてショックだった。



「どうして王女様や貴族のご令嬢がたくさんいるの? どうして色んなものから私を遠ざけようとするの!? 私だってあなたを守りたい!! 守られてばかりは嫌なのに!!」



私はこんなに怒ってるっていうのに、貴方の表情は変わらない。冷静なまま。どうして言いたい放題な私を許すの?それとも呆れてる?相手にならない?



「ベアト__」

「忙しいのに駆けつけてくれてありがとう。 でももう一人で大丈夫だから、仕事に戻って」

「……分かった」



ジーン王子は私の頬にキスをすると部屋から出て行った。


私なんて事……っ。


自分から追い出すような事を言ったくせに胸が苦しくて泣いてしまった。声が漏れてしまわないようにクッションで顔を隠した。息苦しいのか胸が苦しいのか、もうよく分からなかった。





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