求めよ、さらば与えられん
次の日から護衛のつく生活が始まった。ジーン王子とはあれ以来まともに顔を合わせる事もなく、時間だけが過ぎていった。


プレゼントはちゃんと用意したいのに、街に行く時間が全然なくて困っていると、ロアナが知り合いの外商に連絡を入れてくれ、王城へ来てくれた。その人は王城を出入りする事がよくあるらしく、周りから不思議がられる事はなかった。多分ジーン王子もなんとも思ってない。まぁその外商が来たこと知らないと思うけど。



「失礼いたします」

「こうしてゆっくり会うのは久しぶりだな」



笑顔で迎えてくれた国王陛下に促され、腰掛けた。ここへ来るとホッとする。



「部屋を荒らされプワゾンが置かれていたと聞いた。 あれから問題はないか?」

「はい。 ジーン王子が護衛を付けて下さってますし、アウロラも付いていてくれますから」



レミーに手の甲をペシペシっと叩かれ、「レミーもね」と言うと満足したのか木の実を食べ始めた。



「バルドックの名を名乗ると決めたそうだね」

「はい。 悩んでいた私の背中をグレース王女が押して下さいました」

「グレースが?」

「ジーン王子の隣を望むのなら、王女という肩書きを持てと言われました。 周りに甘えてばかりの私に喝を入れて下さったんです」



グレース王女は私とは比べ物にならないくらい強い女性だ。こんな言葉は間違ってるのかもしれないけど、憧れを抱いた。





< 209 / 334 >

この作品をシェア

pagetop