求めよ、さらば与えられん
私はジーン王子のそばにいる事を望んだ。けど、そばにいる事で自分がどう在らなければならないのか、ちゃんと理解できていないのかもしれない。



「先日、軍事以外の事で珍しくジーンが私の部屋を訪ねて来た」

「ジーン王子が?」

「『ベアトリーチェ以外との女性と未来など考えられない。 ベアトリーチェの力の事で懸念する事があるならば、全て私に言って頂きたい。 私は貴方に認めて頂きたいとは思っていないが、彼女はきっと貴方に認めてほしいと思っている。 貴方のことを父のように思っているようなので』と、いつもの3割り増し鋭い眼光で言われたよ」



国王陛下の呆れ笑いの中にほんのり嬉しそうな顔が見えた。


ジーン王子の言う通り、私は国王陛下にも私たちの仲を認めて頂きたい。それと同じくらい、ジーン王子と国王陛下に仲良くなってもらいたい。



「私にできる事があればいつでも言いなさい」

「ありがとうございます。 国王陛下、改めてよろしくお願いいたします」



膝上で指先を揃え、頭を下げた。



「それにしても、まさかルーカスにこんなに可愛らしい娘がいたとは驚いた」



そっか。公務とかで国王陛下もパパの事知ってるんだよね。



「パ__父はどんな人でした?」

「威厳があり、華があり、人を寄せ付ける雰囲気を持ちながらも、簡単には触れさせない様な男だった」



私と一緒にいる時のパパはいつも笑っていて、優しくて、愛情を注いでくれた。私の知るパパと違う人の様に思える言葉。けど、国王陛下の語るパパもパパなんだろう。



「妖精を見た事がある友人というのはルーカスの事だ」

「そうなんですか?」

「2人で飲む機会があってね、その時にポロっとそんな話を漏らしたんだ」



それから国王陛下はパパの話をたくさんしてくれた。ただただ楽しい時間だった。





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