求めよ、さらば与えられん
ジーン王子のパーティー当日、シルク生地で仕立て上げられたベージュのドレスに身を包んだ。シルク生地と合わせた黒レースが普段よりも私の事を大人っぽく演出してくれている気がする。


鏡でドレスを着た自分を見ながら、ドレスを送ってくれたアゼル兄様に感謝した。



「本日は一段と麗しいですな! ベアトリーチェ王女」

「あははっ、ありがとうございます!」



部屋を出ると扉のそばで待っていてくれたダミアンさんが笑顔で褒めてくれた。



「それより、いつもみたいで大丈夫ですよ?」

「いつもみたいとは?」

「話し方です。 何だか変な感じがして落ち着かないです」

「お言葉に甘えてそうさせてもらうかな! だが、公式な場やそうはいかない場では改まった対応を取らせてもらおう」



あけてくれた脇に手を通し、ダミアンさんの腕に手を添えた。



「何笑ってるんですか?」



ダミアンさんが喉を鳴らして笑いを漏らした。笑った理由も知らないのに、私まで笑ってしまった。



「ちょいと思い出してな。 俺がお嬢さんをエスコートする事になった時のジーン王子の顔をな!」

「ジーン王子の顔ですか? どんな顔してました?」

「こーんな顔してたぞ!」



振り向いたダミアンさんの顔は真顔で眉間に皺が…もの凄く皺が寄っていて、不機嫌全開の顔だった。



「あははははっ! もぉ! やめて下さいよ!!」



お腹を抱えて笑っていると、ダミアンさんに「笑い事じゃねぇぞ!」と言われた。そう言ってるダミアンさんだって大口開けて笑ってる。





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