求めよ、さらば与えられん
パーティー会場へ続く扉が開き、ダミアンさんにエスコートされながら中へ足を踏み入れた。



「バルドック国第二王女、ベアトリーチェ王女のおなぁりぃー!!!!!」



っ!?突然の大きな声での紹介にギョッとした。ダミアンさんはどうにか声は我慢しているものの、肩を震わせている。


クリストフ王子のパーティーの時もこんなだった!?あの時は緊張もあったし、気にもしてなかったから覚えてない。


それよりも何だかちょっと居心地が悪い。



「なんか、凄く見られてる気がします」

「そりゃそうだろ。 バルドック国は以前我らが主人_ジーン王子が打ち取り、王家の者たちをほぼほぼ葬ったからな。 そんな国の王女様がまさかジーン王子の誕生日パーティーに足を運ぶなんざ誰が思うもんか」



そっか、そうだよね。私がバルドック家の人間だと知るものはごく僅かなものだけ。これからはもっと顔を覚えてもらわないといけない。王女としての私を。



「では、行きますか」

「行くって…何処にですか?」

「ジーン王子のところに決まってんだろ」



え!?別に決まってはないよね!?


私のことなど御構い無しにどんどん足を進めて行くダミアンさん。ジーン王子との距離が縮まっていく。


ジーン王子は大勢の者に囲まれながら、仮面でも貼り付けているんじゃないかと思う顔で対応している。大勢の大半は女性だった。隅々までお手入れの行き届いている髪の毛や肌。豪華な装飾品に見劣りしない彼女たち。目を逸らしてしまいそうになる自分に気づいて、“負けるな私!”と喝を入れた。




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