求めよ、さらば与えられん
サッと顔を晒すと、体が浮いた。



「ジーン王子!?」



またお姫様抱っこ!?何で!?それもこんな場所で!!



「ベアトリーチェ」

「こ、国王陛下!!」



そしてこんな時に声をかけてこなくても!!



「降ろしてよ!!」

「ジッとしていろ」



体が固まった。目がマジだ……それが恋人にとる態度!?



「ふふふ、仲がよろしいこと」



扇子を口元に当てて艶に笑う美しい女性。ジーン王子と同じく漆黒の髪の毛をしているが、瞳は銀色だった。その瞳はキラキラと言うよりも、ギラっとしている。


前のパーティーでも国王陛下の側にいた気がするし、腕を組んでるって事はきっと王妃様だよね?



「は、初めまして! ベアトリーチェ・バルドックです! こ、こんな格好ですみ__」

「ご挨拶は後ほど改めてさせて頂きます」

「え!?」



ジーン王子は国王陛下と王妃様に背を向けて歩き出してしまった。


さっきよりも不機嫌さが増している気がする。


周りからの視線が痛すぎて、俯いて静かにしていた。


ジーン王子は私を抱きかかえたまま、長いソファーに座った。1人で座り直そうとしたら、お腹に腕を回された。ビクともしない。





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