求めよ、さらば与えられん
トゥーラン城へ着くと、国王陛下夫妻が玄関先の広間で笑顔で出迎えてくれた。


まんまるぽよんとした国王陛下とシュッとしてるけどのほほんとした雰囲気の王妃様。なんだろう、この朗らかな雰囲気。こっちまでまったりしてしまいそうだ。


メイドさんが部屋まで案内してくれて固まった。



「御用の際にはベルでお呼び下さい」



_パタン。


え!?



「ちょっと待って__」



振り向くともうメイドさんは居なくて、語尾が小さくなっていった。


また部屋の中に目を向けると、マクブレイン国のメイドさんや執事さん達が荷解きを始めていた。



「へ、へ、部屋! 何で一緒なの!?」

「そうしてくれと連絡していたからな」

「何で!? 普通は別で__」

「片時も離れたくなかったからだが、お前は違うのか?」

「っ__!」



ズルイ!そんな言い方されたら何も言えないじゃないの!手のひらの上で転がされてる感が半端ない。


荷ほどきしてくれてる皆んなの顔がにやけている気がした。



「私だって一緒にいたいって思ってるんだからね!!」

「分かってる」



余裕の笑顔で返された。悔しい。



「私も片付ける!」

「そんな! ベアトリーチェ王女にその様な事させるわけには__」

「ベアトリーチェの好きにさせてやってくれ」

「は、はい! 畏まりました!」

「ありがと、ジーン!」



私も荷ほどきを手伝い、ジーンは離れたところに在る窓辺の椅子に座り、書類を見始めた。





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