求めよ、さらば与えられん
二人の表情を見ていたら、素直に喜んじゃダメな気がしてどうしていいか分からなくなる。それでもこのブローチを手放したくない気持ちだけは確かだった。



「これ……身につけてちゃダメかな?」



ジーンとアウロラは顔を見合わせた。懇願する様に2人を見つめると、ジーンが頭を抱えながらため息を吐いた。


身に付けるどころか持っていてもいけないのかな……?



「アウロラ、このブローチから嫌な感じなどはしないか?」

「今は感じないが、絶対とは言い切れぬ」

「変だなって思ったらちゃんと外すし報告する! だからお願い!! 私__っ、私……ママの物何も持ってないの……だから……お願い……」



ブローチを握りしめる手に、ジーンの手が触れた。力強い目を向けられ、私は目を伏せブローチを渡した。


ママのブローチ……どうされちゃうんだろう。調べた後は返してもらえるのかな……。


え?



「ジーン……」

「俺もアウロラも注意して見るようにする。 だが、少しでもブローチに変化があれば外す事。 隠し事なく話す事。 いいな?」



ジーンは私の胸元にブローチを付け終えると、呆れた笑みを見せた。チラッとアウロラの顔を盗み見ると、「わらわにも隠し事はなしだぞ」と眉を下げながら言われた。



「隠し事しない! ジーン! アウロラ! ありがとう!!」



ジーンにギュッと抱きつき、そしてアウロラにもギュッと抱きついた。





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