求めよ、さらば与えられん
招かれた晩餐会には、勿論だがお呼ばれされたトゥーラン国、他国の王族・貴族が集まっている。みんな正装姿が板に付いている。私は大丈夫だろうか?『心の中で何を思っていようと、決して表情には出しちゃダメ!』とロアナから何度も念押しされた。ボロが出てしまわないように、会話はジーンに任せよう。私は必要最低限の事しか話さない。ジーンからは何も言われてないけど、そうする方がいいだろうと私なりに判断した。



「お忙しいところ足を運んで頂きありがとうございます」

「お招き頂き有難うございます」



確かこの人トゥーラン国第一王子のジャン王子。ご結婚されてるって言ってたから、隣にいる人は奥さんかな?ジャン王子には正妃以外にも側室がいるって聞いた。ジーンと恋人同士になってそういう話に敏感になった。その辺りのことをジーンがどう思っているのか知らない。怖くて触れられない話題だ。



「お隣の方はベアトリーチェ王女ですよね?」

「ご挨拶が遅くなりました。 この度はお招き頂き有難うございます。 ベアトリーチェ・バルドックと申します。 宜しくお願いいたします」



噛まずに言えて一先ずホッとした。


ジーンのバースデーパーティーの時は敢えてご挨拶は控えていた。マクブレインの中でもまだ知ってもらえていないのに、他国の人に先にご挨拶をするのは違うんじゃないかと思ったからだ。





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