求めよ、さらば与えられん
ジーンは少し身を乗り出した。繋いだ手には熱がこもってる。



「我ら精霊は勝手な生き物でな、気に入った人間が居れば手を貸してしまう。 人が知らぬ間に契約しておると言う事だ。 そして一度契約を交わせば死ぬまでその者の側におる」

「本当に勝手な生き物だな」

「ふふっ、そう言ってくれるな。 そなたの精霊が悲しむであろう?」



アウロラは可笑しそうに笑いながらジーンの頭上を見た。


ジーンと私は同時に上を見た。するとアウロラの笑い声が大きくなった。



「そなたの精霊はそう簡単に傷付く様なやわな奴ではないゆえ案ずるな」



ジーンの精霊っていったいどんななんだろ。アウロラみたいに妖艶で綺麗なのかな?欲を言うならアウロラ以外の精霊も見てみたい。



「話が少しそれてしまったな。 ベアトリーチェの身体に入り込んだ毒について語るとしよう」



ソファーに座りなおして深呼吸した。ジーンの顔を見ると、小さく頷いてくれた。



「お願いします」

「プワゾンの花の精霊はアヴァの双子の姉、エデだ」

「私の…伯母って事?」

「その通り。 だから血縁者であるそなたはプワゾンの毒の抗体を持っておるのだ。 だが赤子の身体では耐えきれなかった……」

「赤ちゃんの時、どうして毒が身体に入っちゃったの……?」

「ハイハイを覚えたての頃、好奇心旺盛だったベアトリーチェが知らぬ間に家から出て行ってしまった事がある。 エデがそなたを誘い込んだのだ。 そして直接身体の中に毒を入れらてしまった」



ちょっと待って……ママのお姉ちゃんなんだよね?



「どうして…ママのお姉ちゃんがそんな事……」

「憎んでおったからだ」

「憎んでた?」

「そう……エデは誰よりもアヴァの事を憎んでおった。 自分とは正反対のアヴァに嫉妬しておった。 それでアヴァの愛する娘であるそなたの命を奪おうとしたのだ。 ただ殺すのではなく、もがき苦しむ様な方法でな」





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