求めよ、さらば与えられん
ジーンの肩に頭を預けて寄り添った。



「ねぇ、ジーン。 リリーちゃんとロロ君は元気にしてるかな?」

「新しい場所で上手くやっていると聞いている。 落ち着いたら様子を見に行くといい」

「そっか、それなら良かった」



リリーちゃんとロロ君は教会に預けられる事となった。


帰ってくるなり体調を崩して、毒に侵され、仕事に追われ……ゆっくりする暇も無く、2人の様子をまだ一度も見に行けていない。ジーンは落ち着いたらと言ってくれたけど、それがいつになるのか、私には見当もつかない。


いつ戦争が始まるか分からない緊迫した状態が続いている。マクブレイン国が一瞬でも気を緩めれば一斉に戦争を仕掛けられてしまうだろう。例えこの国の軍事が優れていようとも、一瞬たりとも気を緩めずにいられるとは限らない。


もしも戦争が始まったらその時は__。



「ベアトリーチェ」

「え? 何?」

「いや、何でもない」



突然ジーンは私の眉間に唇を落とした。


私ってば……また考えてる事が顔に出てたんだ。



「そろそろ寝ようか」

「うん、そうだね」



立ち上がった瞬間抱きかかえられた。慌ててジーンの首に腕を回した。



「もう! ビックリするじゃないの!!」

「だが、嫌ではないだろ?」



私の心を見透かす瞳に腹が立つ。けど本気で腹が立ってるわけじゃない。その事も分かっての事だろうと思うと、悔しい気持ちも芽生えてくる。



「馬鹿ジーン」



そう言うと、わざと落とすような素振りをされて胸をグーで殴って怒った。するとジーンは口を開けて声を出して笑い出した。


笑い事じゃないよ!本気でビックリした!!


そう思いながらも思わず笑い声につられて私まで笑ってしまった。いつまでもこうしてジーンと笑っていたい。どんな事が起ころうと、最後にはこうして笑い合いたい。





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