求めよ、さらば与えられん
部屋の窓から夜空を見上げると、クリストフの言っていた通り月が出ていなかった。そのせいか、星が一段と輝いて見える。


窓を開けると夜風が室内へ吹き込んできた。体に当たると少しひんやりとした。



「ベアトリーチェ!!!」

「え?」



振り返ると慌てるアウロラと目が合った。手を差し伸べられ、反射的に私も手を伸ばした。あと少しのところで私たちの間に黒い壁が現れた。



「え? 何!? どうなってるの!?」



辺りを見渡して愕然とした。


なにこれ……どうなってるの?


辺り一面暗闇で、なにも見えない。さっきまで間違いなく部屋に居た。アウロラもレミーもいた。


暫く立ち尽くしていたけど、一向に明るくなる気配がない。人がいる気配もない。


恐る恐る一歩踏み出し、ゆっくり足を進めた。手探り状態。怖くて堪らない。自然と呼吸が浅くなる。



「ジーン!!! アウロラ!!!」



闇が吸い込んでいるんじゃないかと思うくらい声が響かない。それに足にも手にも何も当たらない。


独りぼっち。


そう思ったら更なる恐怖に襲われた。


今まではヘンリーやレミー、アウロラ、ジーン……みんながそばに居てくれた。本当に1人になることなんて無かった。


足が震え、手が震え、思わずその場にしゃがみ込んでしまった。震える手を組んで膝に顔を埋めた。


落ち着いて…落ち着いて……大丈夫。きっとなんとかなる。


必死に自分に言い聞かせた。





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