求めよ、さらば与えられん
勢いよく手を掴まれた。ふり払おうにもビクともしない。なんて力なの!?



「貴女は憎しみというものがどういうものなのか、分かったはずよ」

「え?」

「あのブローチにどんな呪いをかけたのか教えてあげましょうか?」

「っ__」



あのブローチに呪いを掛けたのは本当にエデ伯母さまだった……間違いであってほしいと思ってた。



「貴女の心に黒く醜い憎しみの感情が生まれたら、プワゾンの種が宿るよう呪いを掛けていたの。 賭けをしたのよ。 わたくしの憎しみが勝つのか、貴女の癒しの心が勝つのかを……そして貴女は負けたの、ベアトリーチェ」

「どうして、そんな__」

「アヴァとよく似たその顔を苦しみに歪ませたかったからよ」



エデ伯母さまが見せた笑顔は心の底から楽しんでいるような顔だった。何の後悔も後ろめたさも感じさせない。



「母の愛情、父の愛情、友の愛情……全ての愛情をアヴァに奪われた。 わたくしは誰からも愛などもらえなかった!! この力を望んで生まれたわけではないのに、皆この力を恐れ近づく事もっ、ましてや触れる事もしなかった!! それなのにッ__」



掴まれている手に痛みを感じた。鋭く長い爪が突き刺さっている。血が滲む。



「ほんの少しの差で生まれたアヴァは癒しの力を持って産まれた。 もしかしたらそれはわたくしだったかもしれない__あの子さえ産まれなければ、わたくしはッ__こんな苦しみに苛まれる事などなかったかもしれない!!」





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