求めよ、さらば与えられん
空気が張り詰め静まり返る。この暗闇の中で憎しみに苛まれたエデ伯母さまの身体だけが、微かな光を纏っている事が不可思議だった。



「貴女が悪いのよ? ベアトリーチェ」

「わた、しが……?」

「せっかく穏やかに暮らせていたというのに、貴女が現れた……貴女のせいで、残酷な思い出が蘇ったの。 貴女の顔を見るたび、思い出すたびに胸が疼くの…アヴァが消えないの!! もう、わたくしの心は限界だった……だから貴女が悪いの…全て……」



どうしてそうなるの!?沸々と怒りが込み上げる。



「ママが悪い! 親が悪い! みんなが悪い!! 全てを人のせいにして貴女は歩み寄る努力をしたの!? ママが笑顔を見せてくれたと言ったわね!? ママはエデ伯母さまと仲良くなりたかったからじゃないの!? それなのに同情だのなんだのと理由をつけて拒絶していたのはエデ伯母さまなんじゃないの!?」



いっ__!


エデ伯母さまの爪が更に食い込んだ。傷口から血が流れ落ちる。



「何も知らないくせに、よくもそんなオメデタイ事を言えるわね。 そういうところもアヴァにソックリだわ。 吐き気がする」

「…………」

「アヴァが人間界へ行く前にブローチをとったのはわたくしよ」



突然何?どうして今そんな話をするの?



「あの子が幸せな暮らしをしたら、このブローチを返しに行こうと思ってた。 呪いをかけてね」

「……ママもプワゾンの抗体を持っていたはずよ。 そんなママに呪いをかけたとしても成功するとは思えない」

「あら、案外頭の回転が悪いのかしら?」

「どういう意味!?」

「ふふっ、言葉の通りよ? 」



エデ伯母さまの手が離れ、爪先がトンっと私の胸元に当たった。



「じゃあどうして貴女は今わたくしの毒に侵されているの? 貴女も抗体を持っているでしょう? 可笑しいと思わない?」





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