求めよ、さらば与えられん
「私の、せい……?」



涙が溢れる。どんどん溢れていくのに拭う気にもならない。今自分の涙の事なんてどうでもよかった。



「そうよ、全て貴女のせい。 貴女が私の前に姿を現さなければこの国の人もお友達も愛するジーンも苦しむ事はなかったの」

「…………」



頭の中に靄がかかっていく。意識が持っていかれそうになる。


我を忘れてしまいそうになる自分に必死に抗った。



「エデ伯母さま……」

「なぁに?」



話しながらいくつか気になっていた事がある。


今後何かの役に立つとは思えないけど、気になってた。意識を飛ばしてしまわないように、その事だけに集中した。



「力を封じられたんじゃなかったの?」

「あぁ、そうね。 そんな時もあったわね。 アヴァを手にかければお父様がどういう罰を下すかなど、だいたい検討がついていたわ。 悪さをした精霊たちの殆どが力を奪われ、永久追放されていたから。 だからわたくしは力を奪われる直前に自分で自分に掛けていた術を発動させたの」

「術?」

「自分で自分の力を封印したの。 そうする事でお父様の力を回避した。 自分で封印を解けば力は戻ってくるわ」



緻密な計画は抜かりなく、確実に行われた。この人はあらゆる目を欺く事に長けている。本当に恐ろしい人だと思った。






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