求めよ、さらば与えられん
こんな恐ろしい人が私に色々話してくれるという事はやっぱり命はないという事なんだろうか?それとも他に意味があるの?



「国王陛下の事、愛してる……?」



エデ伯母さまの眉がピクリと動いた。今までにない反応。



「さぁ? 遊びで人間界を訪れていた時にたまたま知り合っただけの事」

「でもクリストフがいる。 愛していない人との間に子供を望むとは思えない」

「哀れに思っただけよ」

「哀れ? 国王陛下を……?」

「体が弱く、余命いくばくもない愛する妻。 弱り切っていた心に触れてやっただけの事。 そしてわたくしはヴィクトルの子を腹に宿した。 クリストフを愛でるよりも、母を裏切った父を憎むジーンを見ている方が数倍も面白かった」



ジーンと国王陛下の不仲の訳はそういう事だったのか……こんな時に知る事になるなんて思いもよらなかった。事情を知らなかったとは言え、国王陛下の事で自分の気持ちをジーンに押し付けてしまった事を反省した。



「貴女はどうして生きていられるの? 精霊は人間界では長く生きられないんじゃないの?」

「精霊界を追放されたものは力を失う代わりに消滅する事はないのよ。 死ぬ事も力を使う事も出来ない精霊たちは彷徨うことしかできない。 永遠と生き地獄を味わうの。 わたくしの父_貴女の祖父はとても残酷なのよ」



どんな罪を犯せばそんな罰を受ける事になるんだろう。内容はどうであれ、それはどれも重い罪なんだろう。





< 287 / 334 >

この作品をシェア

pagetop