求めよ、さらば与えられん
私もジーンと同じ様に見えてる。違うっていうの?



「本来の母様の髪の毛は紫がかった黒色だよ。 瞳は__」

「スギライトによく似た紫色」



クリストフの言葉をアウロラが遮った。


アウロラの瞳は美しい七色から赤色へと変わっていた。燃える様な赤……怒り、そして憎しみの色。



「母と過ごしていた幼少期、不思議に思っていた。 2人でいる時と、部屋を出た時の母の姿が何故違うんだろう?ってね。 それで聞いたことがあるんだ」

「……エデ伯母さまは何て?」

「『母の姿を知るのは貴方だけでいい』と言っていたよ。 その時はよく意味が分からなかったけど、最近わかった気がするんだ。 母様は自分の計画を誰にも邪魔されたくなくて、姿を誤魔化していたんだって……」

「そしてまんまとしてやられた……という事か。 悪知恵の働くところは何一つ変わっておらぬ様だな」



アウロラの握った拳にグッと力が入った。するとパリンッと花瓶が割れた。


張り詰める空気。


アウロラにかける言葉が見つからない。



「僕がもっとしっかりしていれば、もっと早い段階で母様を止められていたかもしれない。 駄目すぎる自分が嫌になるよ」

「そんな事ない。 クリストフは駄目なんかじゃないよ」

「僕は弱くて臆病だから、母様に見捨てられたんだよ。 僕は母様の様に強くはなれなかった。 僕は僕の身体に流れるプワゾンの毒が怖くて堪らない。 母様はそんな僕に嫌気がさしたんだ」



そうか。


私の中にコンソラトゥールの力があるのと同じで、クリストフの中にはプワゾンの力が流れてるんだ。





< 295 / 334 >

この作品をシェア

pagetop