求めよ、さらば与えられん
クリストフの大きな声が部屋中に響いた。いつも穏やかで優しい声色の彼の声とは思えないほどだった。



「精霊王は父親としてではなく、国王として決断を下した。 王宮に使えるものたち、そして民の為に。違うか?」



ジーンが言っている意味はよく理解できる。けど、心がうまく受け付けてくれなかった。



「わらわもそう思っていた」

「え? どういう事?」



そう言うと、アウロラは切ない笑みを浮かべた。



「精霊界の為というのは表面上のものであり、本当のところはエデの為だったのだ」

「母、様の?」

「ああ、そうだ。 好奇な目に晒され、これ以上エデが傷付いてしまわぬ様にと離れに住まわせたのだ」

「でも、隔離なんて……エデ伯母様はたった一人で過ごしてたってことでしょ?」



自分の為だとしてもたった一人で居なきゃいけないなんて辛すぎる。


今までエデ伯母様にされてきたことを考えると、今の私ではまだ許せそうにない。だけど、可哀想だと思わずには居られなかった。



「隔離はされておったが、エデのおる離れに足を踏み入れる事を禁じられてはおらぬ。 エデが外に出られぬ分、アヴァがエデの元に通っておった」






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