求めよ、さらば与えられん
本当は風邪とは比べものにならないくらい身体中怠くて、気分が悪くて、息苦しい。それでも私が弱音を吐くなんて許されない。私がみんなを苦しませてるんだから。


私はクリストフの前に座った。



「ジーンには力を使う度怒られてるよ」



重い空気にはしたくなくて笑って言った。けどクリストフの顔は心配したままだ。


フーッと息を吐いた。



「それで? 用事があったからきたんでしょう?」

「…うん。 ベアトリーチェにお願いがあるんだ」

「お願い?」

「血を採らせてもらえないかな」

「いいよ」

「え?」

「え?って何?」



自分で聞いといてビックリした顔してる。


可笑しくて笑ってしまった。



「そんなにすんなりいいよって言われると思ってなくて……理由も話してないのに……」

「理由なんて必要ないよ。 だって私はクリストフの事を信じてるから。 真剣な顔を見ただけでわかるよ。 これは大事な事なんだろうって」

「うん、凄く大事な事だ。 ありがとう、ベアトリーチェ」

「お好きなだけどうぞ」



テーブルの上に腕をのせた。


クリストフは持ってきていた鞄を開くと採血に必要な道具を次々と出していった。慣れた手つきで準備が進んでいく。


腕にチクリと痛みが走る。


私はクリストフの真剣な眼差しを静かに見つめていた。





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