求めよ、さらば与えられん
翌朝大きな音、そして地震の様な揺れで目が覚めた。それはジーンも一緒だった。


嫌な予感がする。胸が騒つく。



「失礼致します!!!」



部屋に入ってきたカステルさんの表情は鋭く、緊迫した空気を纏っていた。



「何事だ!!」

「他国からの一斉攻撃です」

「一斉攻撃だと?」

「今まではバラバラに仕掛けてきていましたが、どうやら手を組んだ様です。 各国の強い力を共鳴させての攻撃です。 結界があとどれくらい耐えられるか……」



そんな……。


こんなに衝撃を受ける攻撃が結界なしでやられてしまったら街はひとたまりもない。この国の人たち、動物や草木が滅んでしまう。



「何か言ってきているか」

「……1時間の猶予を与えると言ってきています」

「1時間以内にベアトリーチェを差し出さなければ我が国を滅ぼすという事か」

「…………」



カステルさんは険しい顔をするだけで、何も答えなかった。その表情が返事になってる。



「風の妖精たちは結界を張るのが上手いゆえ、声をかけるとしよう」



アウロラの提案にジーンは「頼む」と一言返した。するとアウロラはすぐに姿を消した。






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