求めよ、さらば与えられん
ジーンがカステルさんに細かい指示を出した。私は混乱する頭でその話を聞いていた。ううん、混乱しすぎて体が動かなかった。レミーはそんな私を心配してか、肩に飛び乗ってきた。


カステルさんが部屋からでていくと、ジーンは着替えを始めた。


わ、私も!着替えないと!!


クローゼットに向かおうとしたら、腕を掴まれた。



「部屋にいろ」

「……え? 何、言ってるの?」

「奴らの狙いはお前だ__ベアトリーチェ」



そんなの分かってる。私のせいでこの戦争が始まった。私のせいでみんなが怖い思いをしてる。私のせいで痛い思いをしてる。



「私が狙いなら私が外にいた方がいい!!」

「何言っ__」

「私の姿が見えた方が攻撃する手を緩めるかもしれないでしょ!? 王城内の救護場所にいる! 安全な場所にできるかもしれない!!」



乱暴に口を塞がれた。荒々しいキスに戸惑った。


唇が離れた時には頭の中が真っ白になっていた。



「力を使いすぎるな」

「…………」

「頼むから「分かった」と言ってくれ」



そう言われて、躊躇いながらも「分かった」と返事をした。


ジーンは守れない約束だという事をきっと分かってる。だから私は心の中で謝った。





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