求めよ、さらば与えられん
お城の外に出ると、空は薄っすらと黒い煙に覆われているようだった。その煙はどんどん色濃くなっていくような、不気味な雰囲気を漂わせている。


ジーンと別れ、城内の救護所へ急いだ。走りながら胸元につけたママのブローチを握りしめた。毒に侵されてしまったけど、穢れは感じない…ママの大事にしていたブローチ。



「ロアナ!!」



救護所に着くと、汗を流しながら怪我人の手当をしているロアナを見つけた。



「ああ! 良かった! とにかく手が足りないの!! 重症患者の手当をしてくれる!?」

「勿論!!」

「僕も手伝う!!」



患者を診て回ろうとしたら、ルネ王子の力強い声が聞こえた。ルネ王子の側にはリュカさんとゴルチエさんも居た。



「我々もお手伝いします」

「リュカ……」



ロアナは一瞬涙ぐんだ。けど涙が溢れる前に腕で乱暴に殴った。



「僕も微力ながら力になるよ」

「クリストフ」



そう言って集まってくれたのは、王城で働くメイドさんや執事さん達も同じだった。


そんな私たちに気付いた薬室長は駆け寄ってくると、迅速かつ的確な指示を出した。みんな迷いのない目で指示を実行に移していく。





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