求めよ、さらば与えられん
物凄い勢いでエデ伯母さまがクリストフの胸を押した。するとクリストフはすんなりと手を広げた。


エデ伯母さまは反動で地面に転び、倒れ込んだ。


どうしたんだろう……様子がおかしい。



「何を__ッ、わたくしに何をしたの__ッッ!?」



え?


凄い剣幕のエデ伯母さま。綺麗な顔が歪んでいる。そして、どんどん肩が上下に揺れていく。息苦しそうだ。


クリストフは腕に付けていたアクセサリーを外すと地面に落とした。そしてそれを踏み潰した。無残な姿になったブレスレット。



「このブレスレットにはベアトリーチェの血を仕込んでおいたんだ」

「な、んですって__!?」



私の血……?


もしかして尋ねてきた時に取った血?



「ベアトリーチェがプワゾンの毒に侵されているように、母様の体に毒を中和する力のあるコンソラトゥールの血を流し込めば、母様の動きを止められるんじゃないかって思ったんだ」

「っ…ふふ、あははははははははっ!!!!」



突然気が狂ったかのように笑い始めた。その笑いに誘われるように空も黒さを増していく。


空気が悪くなっていっている気がする。


怪我人もそうじゃない人も苦しそうな表情を浮かべている。





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