求めよ、さらば与えられん
「私は殺されるの?」

「お前は真っ直ぐ目を見て物を言う。 俺を目の前にして目を逸らさない奴は珍しい」

「……目を逸らしたって何も変わらないもの。 目を逸らしているうちに自分の人生が終わってしまうなんて、真っ平御免だわ」



ジーン王子は立ち上がると目の前で足を止めた。


昼間とはまた違う雰囲気。着崩したシャツの所為なのか、妖艶さを感じた。色気のある……とはこういう人に使うんじゃないかな。



「俺から目を逸らし、媚び諂った者たちを見せようか?」

「え……?」



ジーン王子が指を鳴らすと、部屋の中の幕がシャッと開いた。そこには疲れ果てた男女3人がいた。


男性の拳には血がべっとりとついていて、何故か空中に赤い血が伝う様に跡になっている。まるで見えない壁でもあるかの様だ。



「この人たち……」



見た事がある気がする。けど、上手く思い出せない。



「分からないのか? 血の繋がった兄弟だろう?」



そうか……パパが亡くなる時に言い合いしていた人たちだ。



「私はここにいる人たちを兄妹だと思った事は一度もない。 ここにいる人たちだってきっとそう。 心から私を妹だと思った事のある人なんて1人もいないよ」







< 33 / 334 >

この作品をシェア

pagetop