求めよ、さらば与えられん
棚の上に置いた薬を取ってジーン王子に差し出した。



「国王陛下にいつもお渡ししている薬よりも強いお薬です。 今回みたいに発作が治らないことがあれば、この薬を飲ませて」

「何故俺が持っていなければいけない」

「また次いつ国王陛下と衝突するとも分からないでしょ?」



今回の国王陛下の発作の原因は恐らくジーン王子との親子喧嘩。内容までは知らないけど、喧嘩の最中、国王陛下は苦しみ出したと聞いた。



「くたばったらくたばった時だ」



腹が立った。いくら親子とはいえ、言っていいことと悪いことがある。


私は薬袋をジーン王子の胸に押し付けた。



「何故そんな事が言えるの!? 血も涙もない人! 国王陛下がどれ程あなたの事を大切に想っているのか知らないでしょう!?」

「大切? 虫唾が走る。 お前こそ何も知らない部外者だろ? 知ったような口をきくな」



ジーン王子は薬袋を振り払うと立ち上がった。そのままドアに向かって歩き始めたジーン王子にかける言葉が見つからない。



「……お前への無礼は謝罪する」



振り向きもせずジーン王子は部屋を出ていった。





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