求めよ、さらば与えられん
パーティー当日、お城には沢山の馬車が並んだ。王家次男のお誕生日にこんなに人が集まるなんてビックリ。


クリストフ王子に見初められたいのか、お嬢様達の気合の入れようは凄かった。まぁあれが普通なのかもしれないけど。


私はドレスに負けないように自分なりにお化粧してみた。髪の毛はロアナに教わった通り巻いてみたが、不安でしょうがない。


肩に乗ってるレミーの首にはお揃いのリボンを巻いている。嫌がるかもしれないと思ってたけど、案外素直にリボンを巻かせてくれた。気に入ったみたいだ。



「準備できたかい?」

「は、はい! 今行きます!!」



慌てて部屋を出た。私を見るなり薬室長は驚いた顔をした。



「え!? どこか変ですか!?」

「あぁ、いや、いつもと雰囲気が違うから少し驚いた。 そういう格好も似合うよ」

「あ、あり、ありがとうございます!!」



「ははっ」と可笑しそうに笑われた。今日は仕事じゃないからか、いつもよりも薬室長の雰囲気が柔らかい。



「では行こうか」

「はい!」



歩き出した途端早速つまづいてしまった。危ない!転ぶかと思った!


薬室長が脇を開けた。



「会場までつかまっているといい。 少しはヒールに慣れるだろう」

「す、すみません……ありがとうございます」



会場に着くまでに本気で転び兼ねないと思ったので、素直に薬室長の腕をお借りした。





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