求めよ、さらば与えられん
顔を上げて絶句。


え?なんで?なんでこの人がこんなところにいるの?



「具合が悪いのか」

「あ、いや! そんな事は……っ! ある子を探してて……」



ジーン王子は黒を基調とした洋服を着ている。闇と同化してしまいそう。でもこの人はそんなものに飲み込まれたりはしないんだろう。


ん?



「レミー!!」



ジーン王子の肩に乗ってるレミーは首を傾げた。その可愛い仕草が違和感を強くする。冷血王子とレミーって……不釣り合い。



「レミーと言うのか」



そう言ってジーン王子はレミーの頬を撫でた。するとレミーも満更でもないらしく、擦り寄っている。


……仲良し?



「何かを探す様にウロついていた。 リボンが巻かれていたから飼い主がいるんだろうと思って保護しておいた」

「あ、りがとうございます……」



両手を器の様にして伸ばすと、レミーは軽やかに飛び乗ってきた。


レミーの体を頬に寄せた。体から力が抜けていく。



「心配したんだからね」



私の大切な家族。レミーがいなくなるなんて考えたくない。





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