求めよ、さらば与えられん
「葉の乳液が付いているかもしれません。 触ったらジーン王子の手もかぶれてしまいます」

「どういうことだ」

「ベアトリーチェは僕を庇って手が腫れちゃったんだよ!」



ルネ王子に名前を呼ばれて心臓を鷲掴みされそうになった。弟がいたらこんな感じでキュンキュンするのかな?



「お前は一体何をしているんだ。 本当に鈍臭い奴だな」



それはこの前の靴擦れの事含めてって事!?感じ悪い。睨みつけてやろうかと思うのに、胸の奥が変で顔が見られなかった。



「薬は持ってるのか?」

「……薬室にある」



「はぁー」と盛大なため息。そういう扱いにはもう慣れましたよ!



「へ!?」



突然怪我していない方の手を握られギョッとした。



「行くぞ」

「行くぞって何処に!?」

「俺の部屋だ」

「はい!? 何で!?」

「その方が早い」



早いって何!?



「薬室に戻って手当てし__!?」



ギロッと睨まれ固まった。



「また抱きかか__」

「あーあーあー!! 付いていきます!」



この人こんなとこで何言おうとした!?不敵に笑われて腹が立った。


手を引かれスタスタ歩くジーン王子についていった。失礼ながらも振り返りながらルネ王子たちに会釈した。みんな驚いた顔してる。


それよりもわざわざ手を繋いで歩く必要はないんじゃないだろうか?


怪我した手よりも熱くなってる気がする。胸の高鳴りが酷くなっていく。





< 90 / 334 >

この作品をシェア

pagetop