求めよ、さらば与えられん
第7話 ダメな人
次の日仕事はお休みだったけど、薬室長室に向かった。
ドアをノックすると中から薬室長の声が返ってきた。
「失礼いたします」
「あぁ、おはよう」
「おはようございます。 昨日は午後急にお休みを頂いてしまってすみませんでした」
頭を下げると、「掛けなさい」と言われたので、促されるまま椅子に座った。
薬室長室はとてもシンプルだ。薬や薬草、草木に関する本、それから私には難しくて分からない本がたくさん並んでいる。窓際に飾られた花瓶に入ったお花。写真や絵画は一つも飾られていない。ここでは薬室長の私生活は少しも伺えない。
「手は大丈夫かい?」
「はい。 薬を塗ったら痛みは治りました」
「仕事柄他人の心配ばかりしてしまうが、自分の身体も労ってあげなさい」
「はい……今後気をつけます」
そうだよね。後々考えれば怪我しない方法なんて幾らでもあった。その考えが咄嗟に出来なかったのは、自分の身体の事を考えてあげられていなかった証拠。
「責めているわけではないよ? ただ私が心配なだけだ」
「え?」
「君はいつも一生懸命だからね。 時にそれは危うさを感じさせる。 君に何かあれば友人も心配するだろう」
ロアナの顔が浮かんだ。この手を見られたら確かに心配を掛けてしまいそうだ。
ドアをノックすると中から薬室長の声が返ってきた。
「失礼いたします」
「あぁ、おはよう」
「おはようございます。 昨日は午後急にお休みを頂いてしまってすみませんでした」
頭を下げると、「掛けなさい」と言われたので、促されるまま椅子に座った。
薬室長室はとてもシンプルだ。薬や薬草、草木に関する本、それから私には難しくて分からない本がたくさん並んでいる。窓際に飾られた花瓶に入ったお花。写真や絵画は一つも飾られていない。ここでは薬室長の私生活は少しも伺えない。
「手は大丈夫かい?」
「はい。 薬を塗ったら痛みは治りました」
「仕事柄他人の心配ばかりしてしまうが、自分の身体も労ってあげなさい」
「はい……今後気をつけます」
そうだよね。後々考えれば怪我しない方法なんて幾らでもあった。その考えが咄嗟に出来なかったのは、自分の身体の事を考えてあげられていなかった証拠。
「責めているわけではないよ? ただ私が心配なだけだ」
「え?」
「君はいつも一生懸命だからね。 時にそれは危うさを感じさせる。 君に何かあれば友人も心配するだろう」
ロアナの顔が浮かんだ。この手を見られたら確かに心配を掛けてしまいそうだ。