【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
§プロローグ 一夜のあやまち
「もう、藍本さん、飲みすぎです。はい、水!」
「水なんて飲まない」
「はい、じゃあ焼酎のロックです!」
「ありがと。これ、味のしない焼酎ね」
「そうです。あたり障りのない味、いまはこれが流行なんです!」
こんなのが流行ってるの、と思いながら後輩の武田さんから受け取ったグラスを一気に空けた。
「いい飲みっぷりです! はい、もう一杯!」
間髪入れずに渡されたそれをまた飲み干す。自分でもこんなに飲んで、という自覚はある。でも飲まずにはいられなかった。3年もつきあった彼氏に振られたのだから。
*―*―*
ことは2週間前にさかのぼる。
バレンタイン直前の12日、彼に呼び出された。ついでにチョコを渡そうと手作りしてあったトリュフを持参し、待ち合わせのカフェに出向いた。
いつもならギリギリにくる彼は珍しく先に席について私を待っていた。
神妙な面持ちでテーブルを見つめ、手を太ももの上で握っている。
そんな彼の仕草に私はとっさに期待した……待ちに待ったアレかもしれない。
私の脳がフル回転する。確かあの結婚式場は来週末がブライダルフェアで、今から申し込みが間に合えば秋には……。
ドレス姿の自分がタキシードの彼と腕を組んで歩く姿が目に浮かんだ。
「水なんて飲まない」
「はい、じゃあ焼酎のロックです!」
「ありがと。これ、味のしない焼酎ね」
「そうです。あたり障りのない味、いまはこれが流行なんです!」
こんなのが流行ってるの、と思いながら後輩の武田さんから受け取ったグラスを一気に空けた。
「いい飲みっぷりです! はい、もう一杯!」
間髪入れずに渡されたそれをまた飲み干す。自分でもこんなに飲んで、という自覚はある。でも飲まずにはいられなかった。3年もつきあった彼氏に振られたのだから。
*―*―*
ことは2週間前にさかのぼる。
バレンタイン直前の12日、彼に呼び出された。ついでにチョコを渡そうと手作りしてあったトリュフを持参し、待ち合わせのカフェに出向いた。
いつもならギリギリにくる彼は珍しく先に席について私を待っていた。
神妙な面持ちでテーブルを見つめ、手を太ももの上で握っている。
そんな彼の仕草に私はとっさに期待した……待ちに待ったアレかもしれない。
私の脳がフル回転する。確かあの結婚式場は来週末がブライダルフェアで、今から申し込みが間に合えば秋には……。
ドレス姿の自分がタキシードの彼と腕を組んで歩く姿が目に浮かんだ。
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