【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
気を取り直して私は候補に挙がっている内科医院を訪れた。コンクリート壁には亀裂がはいり、地面のほうでは苔がはびこっている。駐車場のアスファルトもところどころ割れていた。車はそこそこ停まってはいるけれど。
こんな医院、大丈夫なんだろうか。いまどき自動ドアではない引き戸を開けて中に入る。
入った瞬間、熱気のようなものを感じた。待合室にはたくさんのお年寄りや子どもと母親であふれていた。人気の医院らしい。
受付のスタッフに声をかけ、中を案内してもらう。設備は古く、決して最先端医療が受けられる施設ではない。診察しているのはシルバーグレイの年配者と30代の若い医師だ。親子だとは聞いている。
午前の診察を終えたのが13時過ぎ。14時半からは午後の部がスタートする。そんな忙しい昼休みに息子のほうが私に時間をくれた。
「駅前再開発のテナント募集ですよね。申し訳ございません、あの話はなかったことに」
「え?」
「この通り、建て替えの必要な医院です。最新式の医療機械も導入して、地域の皆さんに恩返しがしたいと思っていて。そしたら金利ゼロ円で建て替えさせてくれるという話があってですね。まあ、渡りに船ってやつです」
「つまりはスポンサーが現れた、と?」
ちなみにどこが?、と尋ねると、
「ブライアントホテルさんです!」
と若い医師は笑顔で答えた。
*―*―*
こんな医院、大丈夫なんだろうか。いまどき自動ドアではない引き戸を開けて中に入る。
入った瞬間、熱気のようなものを感じた。待合室にはたくさんのお年寄りや子どもと母親であふれていた。人気の医院らしい。
受付のスタッフに声をかけ、中を案内してもらう。設備は古く、決して最先端医療が受けられる施設ではない。診察しているのはシルバーグレイの年配者と30代の若い医師だ。親子だとは聞いている。
午前の診察を終えたのが13時過ぎ。14時半からは午後の部がスタートする。そんな忙しい昼休みに息子のほうが私に時間をくれた。
「駅前再開発のテナント募集ですよね。申し訳ございません、あの話はなかったことに」
「え?」
「この通り、建て替えの必要な医院です。最新式の医療機械も導入して、地域の皆さんに恩返しがしたいと思っていて。そしたら金利ゼロ円で建て替えさせてくれるという話があってですね。まあ、渡りに船ってやつです」
「つまりはスポンサーが現れた、と?」
ちなみにどこが?、と尋ねると、
「ブライアントホテルさんです!」
と若い医師は笑顔で答えた。
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