【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
昼を取って、次の歯科医院に出向いた。が。


「実は別のところでいい条件を提示してくれる場所があって。三國さんとは縁がなかったということで……」
「ちなみにどちらで?」
「ブライアントホテルさんが」


私は絶句した。
二階堂氏が手を回したってこと?
一体、いつの間に。


*―*―*

私は意気消沈して電車に揺られていた。これだけ早い根回し。この分でいくと、私がリサーチした事業者は全部、二階堂氏に取られてしまうのではないか。

心配になって、電車を降りて、私は武田さんに電話をした。


「誘致を考えてるスイーツショップですか? いえ、他からの買収とかの話はないですよ」


武田さんは明るい声で返事をした。
ということは、私が担当している病院だけかも。

次に唐澤さんに電話をした。


「あ……藍本さま……いまどちらに?」


挙動不審な様子が伝わる小声だ。私は唐澤さんを社外のカフェに呼び出した。


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