【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔

「どうやら信じてくれたようだな」
「ご迷惑おかけしたようですみません。ここの部屋代は支払います」
「そんなことはいい。俺もいい思いをした」


カップをソーサーに乗せてベッドに腰掛ける雅さんの元へ運ぶ。ちょっと俺様な雰囲気はあるけれど、根はいいひとかもしれない。


「でも婚約って」
「責任を取ってもらいたい。キミには責任をとる義務がある」
「引っかいたことはお詫びします。でも……」


ひっかく前に婚約という言葉が出た。なら、ひっかいたことではなく。そもそもひっかいたぐらいで婚約なんて。


「俺、童貞だったんだ」
「え?」
「責任とって結婚」
「ええっ?」
「結婚は初めてのひとって決めてたんだけど」


クスクスと笑う雅さんにそれが嘘だとすぐにわかった。前言撤回だ、いいひとだなんてとんでもない!


「まあ、とにかく。俺とキミは結婚を前提に付き合い始めた」
「そんな勝手に」
「断るならそうだな、キミの痣だらけの画像を……」
「撮ったんですか?」
「さあね。電話番号とアドレスは交換しておこうか」


コーヒーを飲み干すと、おいしかった、ありがとう、と言って空のカップを私に差し出した。











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